埋葬料申請ガイド|手続きや金額を解説
💡記事を先読み
- 埋葬料は社会保険(会社員や公務員)に加入していた方が亡くなった時に受け取れる給付金
- 申請期限は亡くなってから2年間
- 埋葬料や葬祭費は相続税の対象にはならない
埋葬料という言葉を聞いたことはありますか?
埋葬料は社会保険に加入していた方がなくなった際に遺族が受け取ることができる給付金です。
本記事では、社会保険や国民健康保険から支給される埋葬料の手続き方法や金額について詳しく解説します。
申請資格や必要な書類、申請先、支給額などの情報を網羅しているので、スムーズに手続きを進めることができます。
さらに、埋葬料と葬祭費の違いや、他の葬祭費用との違いもわかりやすく解説しているので、ぜひ本記事を参考にして、手続きを進めてみてください。
- 1. 埋葬料と葬祭費:違いと支給対象
- 1.1. 埋葬料:社会保険(協会けんぽ等)による給付
- 1.2. 葬祭費:国民健康保険による給付
- 1.3. 申請期限を守って手続きを
- 2. 埋葬料の支給額と申請方法
- 2.1. 支給金額の目安と条件
- 2.2. 申請資格:誰が受け取れるのか?
- 2.3. 申請先:どこに提出するのか?
- 2.4. 必要な書類:準備しておきましょう
- 2.5. 申請期限と時効:注意すべきポイント
- 2.6. 振り込み時期:いつお金がもらえるのか
- 3. 埋葬料と葬祭費:違いを比較
- 3.1. 埋葬料:資格喪失後も給付の可能性あり
- 3.2. 重複給付は不可:どちらかを選択
- 4. 埋葬費・家族埋葬料・労災葬祭料とは
- 4.1. 埋葬費:埋葬料との違い
- 4.2. 家族埋葬料:支給対象と手続き
- 4.3. 労災葬祭料:葬祭費との違い
- 5. 埋葬料に関する解説まとめ
- 5.1. 埼玉県・東京都の葬儀詳細はこちら
埋葬料と葬祭費:違いと支給対象
「埋葬料」と「葬祭費」は、どちらも故人の埋葬や葬儀の費用を補助する給付金(助成金)です。
しかし、名称が異なるように、それぞれの給付金を受けられるのは、故人が加入していた健康保険の種類によって異なります。
まずは、故人が加入していた健康保険の種類に基づき、どちらの給付金を受けられるのかを確認することが大切です。
埋葬料:社会保険(協会けんぽ等)による給付
埋葬料は、社会保険に加入していた方が業務外で亡くなった場合、生計を共にしていた遺族が受け取ることができる給付金です。
社会保険とは、全国健康保険協会が運営する健康保険(協会けんぽ)、企業や団体が運営する組合健保、共済組合などを指します。
つまり、埋葬料の支給対象となるのは、故人が生前に会社員や公務員として働いていた場合です。
葬祭費:国民健康保険による給付
国民健康保険に加入していた75歳未満の被保険者が亡くなった場合、その葬儀を行った人が受け取れる給付金として、葬祭費があります。
故人が生前に自営業者や個人事業主として働いていた場合に支給されます。
また、後期高齢者医療制度に加入していた75歳以上の方が亡くなった場合も、同様の給付金が受け取れますが、この場合は、通常とは区別して「後期高齢者医療葬祭費」と呼ばれることもあります。
この給付金は、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなった場合に、葬儀費用の一部を補填するために支給されます。
故人が生前に事業を行っていた場合は、その事業の規模や収入状況に応じて、給付金の金額が決まります。
葬祭費の給付を受けるためには、葬儀を行った人が、保険者(市町村や都道府県など)に申請する必要があります。
申請には、死亡診断書や葬儀費用を証明する書類などの必要書類が必要になります。
葬祭費の給付を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。具体的には、以下の点が挙げられます。
- 故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していたこと
- 故人が生前に自営業や個人事業主として働いていたこと
- 葬儀費用が一定額を超えていること
- 葬儀を行なった人が、保険者から指定された期間内に申請を行なっていること
葬祭費の給付は、故人が亡くなった後の経済的な負担を軽減するための制度です。
葬儀費用が高額になる場合もあるため、この制度を利用することで、経済的な負担を減らすことができます。
葬儀費用が高額になった場合や、経済的に困っている場合は、葬祭費の給付について、保険者(市町村や都道府県など)に相談することをおすすめします。
葬祭費に関しては下記の記事をご覧ください。
申請期限を守って手続きを
遺族年金や葬祭費などの給付金は、申請期限までに手続きを完了しないと、受け取ることができません。
期限を過ぎると、時効によって受け取ることができなくなるため、できるだけ早く手続きを進めることが重要です。
以下では、埋葬料の支給額や申請方法について詳しく解説します。
埋葬料の支給額と申請方法
協会けんぽ等社会保険に加入していた方の埋葬料は、健康保険の種類によって支給額や申請方法が異なります。
ここでは埋葬料について詳しく解説します。
ただし、故人が他の健康保険に加入していた場合は、その組合に直接確認が必要です。
支給金額の目安と条件
健康保険組合に加入している場合、亡くなった方の埋葬のために、一律5万円の埋葬料が支給されます。
健康保険組合によっては、独自の付加給付として、埋葬料に加えて一定額の「埋葬料付加金」が支給される場合もあります。
そのため、加入している健康保険組合によって、受け取れる金額が異なる可能性があります。
申請資格:誰が受け取れるのか?
被保険者と生計を共にしていた方が、葬儀を行った場合、埋葬料の請求が可能です。
生計を共にしていたとは、被保険者の生活費の「すべて」または「一部」を負担していた方を指します。
ただし、親族関係は問われません。
そのため、戸籍上の世帯主であるか、同一世帯に住んでいたかなども関係ありません。
つまり、被保険者と生計を共にしていれば、たとえ遠方に住んで仕送りを受けて生活していた子供であっても、親族ではない内縁の配偶者であっても、埋葬料を請求できるということです。
申請先:どこに提出するのか?
埋葬料を申請する際には、勤務先が加入している健康保険組合または社会保険事務所が窓口となります。
申請に必要な書類は、加入している健康保険組合によって異なるため、事前に確認することが大切です。
必要な書類:準備しておきましょう
埋葬料の申請には、必要な書類を揃える必要があります。
- 埋葬料支給申請書
- 故人の健康保険証
- 事業所の証明 (生計維持を確認できる書類)
埋葬料支給申請書は、健康保険組合が定める様式を使用します。詳細は、各健康保険組合へお問い合わせください。
事業所の証明が取得できない場合は、死亡を証明するために、埋葬許可証または火葬許可証のコピーを提出する必要があります。
被扶養者以外の生計維持関係にある人が申請する場合、生計維持を確認できる書類 (住民票や仕送り事実の分かる預金通帳のコピーなど) が追加されます。
申請期限と時効:注意すべきポイント
生命保険金の請求は、被保険者の死亡から2年以内に手続きを行う必要があります。
期限を過ぎると請求権が消滅し、保険金を受け取ることができなくなります。
葬儀の費用がまだ確定していなくても、請求手続きを進めることは可能です。
振り込み時期:いつお金がもらえるのか
健康保険組合によって違いがありますので、故人が加入していた組合に問い合わせて頂く必要がございます。
例えば協会けんぽの埋葬料は、申請から指定された銀行口座への振込まで、一般的に2~3週間の期間を要します。
協会けんぽは、埋葬料の現金での受け取りは行っておりませんので、ご注意ください。
埋葬料と葬祭費:違いを比較
死亡保険金には、埋葬費用を補償する「埋葬料」と、葬儀費用を補償する「葬祭費」があります。
これらの費用は、被保険者の死亡をきっかけに発生するもので、それぞれ異なる目的のために支給されます。
埋葬料と葬祭費は、どちらも申請期限が2年と定められていますが、申請期限の起算点に違いがあります。
埋葬料は、被保険者の死亡日を起点として2年間が申請期間となります。
一方で、葬祭費の申請期限は、葬儀を行った日を起点として2年間となります。
埋葬料:資格喪失後も給付の可能性あり
被保険者が健康保険の資格を失った後、3ヶ月以内に亡くなった場合でも、申請手続きを行うことで埋葬料を受け取ることができます。
さらに、傷病手当金や出産手当金の受給中に亡くなった場合、またはこれらの手当金の受給後3ヶ月以内に亡くなった場合にも、埋葬料の支給対象となります。
重複給付は不可:どちらかを選択
協会けんぽに加入していた被保険者が退職後に国民健康保険に加入し、3ヶ月以内に亡くなった場合、埋葬料と葬祭費の両方が給付対象となるケースがあります。
しかし、どちらかの給付金しか受け取ることができません。
埋葬料を申請した場合、葬祭費は申請できません。同様に、葬祭費を申請した場合、埋葬料は申請できません。
つまり、埋葬料か葬祭費のいずれか一方のみを選択して申請する必要があるのです。
埋葬費・家族埋葬料・労災葬祭料とは
また、国民健康保険以外の健康保険に加入している場合に支給される埋葬料(埋葬費)や、国民健康保険に加入している場合に支給される葬祭費は、故人ではなく、埋葬や葬祭の費用を負担した人に支給される給付金です。
そのため、故人の財産には含まれません。
したがって、相続財産として扱われることはなく、相続税の対象にもなりません。
仮に、埋葬や葬祭を行った人が、故人に対して相続放棄をしていたとしても、埋葬料(埋葬費)や葬祭費の申請は可能です。
ここでは、埋葬費や埋葬料、葬祭料などそれぞれの特徴や、違いなどを分かりやすく解説していきます。
埋葬費:埋葬料との違い
国民健康保険以外に加入している被保険者が亡くなり、生計維持関係にない人が葬儀を行った場合、健康保険から「埋葬費」が支給されます。
具体的には、亡くなった人と生計維持関係にない兄弟姉妹、父母、友人などが葬儀を実施した場合に、埋葬費が支給対象となります。
埋葬費と埋葬料は、健康保険の種類や性質が同じですが、申請者によって支給額が異なる点に注意が必要です。
埋葬費を申請する際には、葬儀費用領収書、または葬儀社の電話番号や案内状、礼状などの書類が必要となります。
家族埋葬料:支給対象と手続き
家族埋葬料は、国民健康保険以外の健康保険に加入している被保険者の扶養家族が亡くなった場合に支給される、葬儀費用の一部を補填する制度です。
例えば、協会けんぽに加入している被保険者が父親の場合、扶養家族である配偶者や子供が亡くなった場合に、家族埋葬料の申請が可能です。
家族埋葬料は、健康保険の種類に関わらず、一律5万円が支給されます。埋葬料などの付加給付はありません。
また、一般的には死産の場合には支給されません。
しかし、出産時には生存していて産後数時間で死亡してしまったケースなど、例外的に支給される場合もあります。
家族埋葬料を請求する際には、必要な書類が健康保険組合や社会保険事務所によって異なる場合があります。
そのため、請求前に必ず加入している保険機関に問い合わせて、必要な書類を確認する必要があります。
労災葬祭料:葬祭費との違い
労働者が業務災害や通勤災害によって亡くなった場合、労災保険から支給される葬祭料は、一般的な葬祭費とは異なる性質の給付金です。
そのため、両者を混同しないように注意が必要です。
葬祭料は、以下のいずれかの金額が支給されます。
- 給付基礎日額の30日分と315,000円の合計金額
- 給付基礎日額の60日分
葬祭料を請求するには、労働基準監督署長に対して「葬祭料請求書」または「葬祭給付金請求書」を提出する必要があります。
請求時には、医師による死亡診断書または死体検案書、被災労働者の死亡の事実と死亡年月日を証明できる書類を添付する必要があります。
葬祭料の請求期限は、被災労働者の死亡から2年以内と定められています。
埋葬料に関する解説まとめ
故人の埋葬費用として受け取れる「埋葬料」と「葬祭費」は、支給条件や手続きが異なるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。
本記事では、それぞれの特徴や、ほかの葬祭費用との違いなどなどを詳しく解説しました。
この記事を参考に、必要な手続きを行い、スムーズに埋葬料や葬祭費を受け取ることができるようにしましょう。