遺影の選び方完全ガイド|大切な方の思い出を美しく残すために
葬儀において、重要な役割を果たす「遺影」。
突然のことで、どのような写真を選べば良いのか、準備に戸惑う方も少なくありません。
この記事では、遺影写真の選び方のポイントから準備方法、そして飾り方に至るまで、分かりやすく解説します。
故人様への感謝と愛情を込めて、後悔のない遺影選びのためのガイドとしてお役立てください。

💡記事を先読み
- 遺影を選ぶ際は「5つの心遣い」がポイント
- 最適な写真がない場合は切り抜きなどの加工写真でも問題ない
- 生前に遺影撮影をしておくとご遺族の負担を軽減できる
遺影の役割とは?
遺影とは、故人様の生前の姿を写した写真で、葬儀や法要の際に祭壇を彩り、故人様を偲ぶ中心となるものです。
参列される方々にとって、故人様との「最後の対面」を叶える大切な一枚であり、そのお人柄や生きた証を伝える役割を担います。
また、故人様の面影を遺影に見出すことで、ご遺族、参列者は故人様との思い出に浸り、穏やかに弔意を表すことができます。
葬儀の後にはご自宅の仏壇や遺影台に飾ることで、日々の暮らしの中でも大切な家族を近くに感じられますので、遺影選びは吟味して行うようにしましょう。

遺影写真の選び方:5つの心遣い
故人様らしい一枚を選ぶことは、残されたご家族にとって、故人様を深く偲ぶ大切な時間となります。
以下の5つのポイントを参考に、心を込めてお選びください。
ピントと解像度で「鮮明な思い出」を
まず遺影として使用する写真は、故人様の表情がはっきりとわかる鮮明さが大切です。
下記に注意して選ぶようにしましょう。
- ピントが合っているか
ぼやけた写真は、拡大した際に故人様のお顔の表情が分かりにくくなってしまいます。
目にピントが合っているか確認しましょう - 解像度は十分か
スマートフォンで撮影した写真でも、近年の機種であれば十分な解像度を持っています。
ただし、あまりにも古い携帯電話の写真などは、画質が粗くなる可能性があります。 - お顔の大きさの目安
スナップ写真から選ぶ場合は、故人様のお顔が10円玉より大きく写っているものを選ぶと、拡大した際に画質が保たれやすいです。
故人様らしい「表情」を大切に
遺影写真を選ぶ際はお人柄や生前の印象が伝わる写真にすることで、参列者の心に深く響きます。
- お人柄が伝わる一枚
穏やかな方には優しい笑顔、真面目な方にはきりっとした表情など、故人様らしさを象徴する写真を選びましょう。 - 生前気に入っていた写真
もし生前に「これがいい」と選んでいた写真があれば、それが一番「その人らしい」一枚となるでしょう。
なるべく希望に沿った写真を選ぶようにしましょう。 - ご家族の「故人様らしい」という感覚
生前にこの写真がいいなどと指定がなかった場合は故人様を一番よく知るご家族が選ぶことになります。
「これこそ故人様らしい」と感じる写真が、多くの方にとっても故人様を偲ぶにふさわしい一枚となります。
迷った時は、ご家族で相談されることをお勧めします。
「服装」が醸し出す品格
遺影の服装は、故人様の品格や全体的な印象に大きく影響します。
- フォーマルな服装が理想的
スーツやジャケット、あるいはきちんとした襟付きのシャツなど、フォーマルな服装の写真が最も適しています。 - カジュアルな写真しかない場合
カジュアルな写真でもあまりに華美なものでなければ問題ありません。
また、葬儀社や専門の写真店では、カジュアルな服装から礼服への合成・加工サービスが充実しておりますので、自然な仕上がりが期待できます。 - 迷ったら喪服への加工も検討
特に故人様の希望がない場合や、ご家族で迷われた際には、男性は黒のスーツ、女性は黒の礼服に加工することも選択肢の一つです。
これにより、厳粛な葬儀の場にふさわしい印象となります。
「目線」と「表情」の自然さ
遺影は、故人様が参列者に語りかけているかのような印象を与えることが大切です。
- カメラ目線が基本
正面を向いたカメラ目線の写真が一般的ですが、近年は自然な横顔や少し斜めからの写真も選ばれることがあります。 - 自然な表情
作り笑いではない、故人様が心から笑っている瞬間や、穏やかな表情を捉えた写真が、その人らしさを伝えます。 - 最近では笑顔の写真も増加
以前は笑顔の遺影は少なかったですが、近年では故人様の明るい人柄を表すために、心からの笑顔の写真を選ぶご家族も増えています。
故人様が生前笑顔を大切にしていた方であれば、ぜひご検討ください。
「撮影時期」
故人様をよく知る参列者が、遺影を見て「この人だ」と認識できる時期の写真を選ぶことが望ましいです。
- 亡くなる5年前までの写真が望ましい
あまりにも若い頃の写真だと、現在の故人様を知る参列者の方々が違和感を覚える可能性があります。 - 容姿の変化があった場合
病気などで一時的に容姿が大きく変わってしまった場合は、無理に直近の写真にこだわる必要はありません。 - 年齢に合った写真
若い頃の溌剌とした姿も素晴らしいですが、参列者が記憶している故人様の姿に近い写真を選ぶことで、より深い共感を呼ぶことができます。

遺影写真の準備方法
故人様を亡くされたばかりで、遺影の準備に十分な時間をかけられないこともあります。
そんな時でも、落ち着いて準備を進めるための方法をご紹介します。
手持ちの写真から選ぶ場合
- ご家族でアルバムや写真データを丁寧に確認
故人様の写っている写真を複数枚選び出し、候補を絞り込みましょう。 - 選び方のポイントに沿って最適な一枚を選定
先述の5つのポイントを参考に、ご家族で話し合い、最も故人様らしいと感じる写真を選びます。 - 必要に応じて加工を依頼
背景や服装の変更、写真の傷や汚れの修正など、プロの加工が必要な場合は、葬儀社や専門の写真店に依頼しましょう。
適した写真が見つからない場合の対処方法
「良い写真がない…」と途方に暮れる必要はありません。
様々な方法で、最適な遺影を準備することができます。
- 集合写真からの切り出しも可能
ご家族や友人との集合写真の中に、故人様の良い表情が写っている場合、その部分だけを切り出して遺影写真として使用することができます。
専門の写真館などに依頼することでプロの技術で、自然な仕上がりに加工してもらえます。 - 写真加工サービスの活用
近年、写真加工技術は目覚ましく進歩しています。
- 背景の変更
撮影場所が適切でない場合でも、無地や和風、あるいは落ち着いた背景に変更できます。 - 服装の変更
カジュアルな服装をフォーマルなスーツや礼服に合成することが可能です。 - 表情や姿勢の修正
目をつむっている写真を少し開ける、姿勢を正すなど、細かな修正もプロの手にかかれば可能です。
- 背景の変更

遺影のサイズと額縁(フレーム)
遺影のサイズや額縁には、一般的な傾向はありますが、決まったルールはありません。
故人様やご家族の意向を尊重して選びましょう。
一般的なサイズ
- 葬儀用(祭壇用)
祭壇に飾る遺影は、比較的大きく見やすい四つ切りサイズ(25.4×30.5cm)が一般的です。 - 仏壇用
葬儀後、ご自宅の仏壇の近くなどに飾る遺影は、手元供養としても適したキャビネサイズ(12.7×17.8cm)や2L判(12.7×17.8cm)が選ばれることが多いです。
フレーム(額縁)の選び方
- シンプルで落ち着いた色が主流
伝統的には、故人様の品格を保つため、黒や茶色などのシンプルで高級感のあるフレームが選ばれることが多いです。 - 個性を表現
最近では、故人様の好みや人柄に合わせて、木製の温かみのあるフレームや、デザイン性のあるフレームを選ぶご家族も増えています。 - 厳格な決まりはない
フレームには特に厳密な決まりやルールはありません。
故人様らしさを表現できる、ご家族が心を込めて選んだものが一番です。
遺影写真の飾り方とマナー
故人様を敬い、参列者の方々が気持ちよくお見送りできるよう、遺影の飾り方にも配慮しましょう。
葬儀での飾り方
葬儀で遺影を飾る場合は、一般的に祭壇の中心またはその近くに飾るようにしましょう。
飾る際は故人様が好きだったお花を飾ったり、思い出の品を添えたりするなど表現を工夫することで、心温まるお見送りを行なうことができます。
葬儀後の遺影の扱い方
葬儀を終えた後は遺影を自宅に飾る方も多いかと思います。
その時は下記のポイント参考にしていただければと思います。
- 四十九日までは後飾り祭壇に飾る
葬儀を終え、ご自宅にお帰りになった遺影は、四十九日の法要までは「後飾り祭壇」に安置するのが一般的です。 - 四十九日後は仏壇の知覚や専用の遺影台に飾る
四十九日の法要を終えた後は、仏壇の近くの棚や、専用の遺影台に飾ります。
ご家族が日常的に故人様を偲べる場所に置きましょう。
注意点
- 複数の遺影を飾る場合
夫婦など複数の故人様の遺影を並べる場合は、亡くなられた順に右から左へ(向かって左が先に亡くなられた方)飾るのが一般的です。
※日本の伝統的な右上位の考え方 - 安全確保
地震などで落下しないよう、額縁の裏の紐をしっかり固定したり、安定した場所に置いたりするなど、安全には十分に配慮してください。
生前に遺影を準備する「終活」
近年では、ご自身の遺影を生前に準備する「終活」の一環として、プロのカメラマンに撮影を依頼する方が増えています。
生前に遺影を撮影することで、「この写真を使いたい」などの希望を伝えることができ、ご遺族の写真選びの負担を減らすことができます。
また、プロのカメラマンによる撮影なので、光の当たり方や表情など、質の高い写真を撮影することができます。
近年では写真館以外にも出張での撮影サービスなどもありますので、ご自宅や思い出の場所での撮影も可能となっております。
準備のポイント
- 目的を明確に
プロのカメラマンに依頼する場合は、遺影として使用する目的をあらかじめ伝えておくことで、より適切な写真に仕上がります。 - 相性の良いカメラマンを選ぶ
自然な表情を引き出してくれる、人柄の合うカメラマンを選ぶことが大切です。 - 服装や身だしなみ
遺影は長く残るものですので、服装や髪型、メイクなど、ご自身の納得のいく身だしなみで撮影に臨みましょう。
出張撮影サービスには以下のようなものがあります。
参考にしてみてください。
- 株式会社NAME
カメラマン出張撮影サービス「いえい!」 - 株式会社エスプリドゥクルール
シニア向け出張撮影サービス「ほほえみフォト」 - photo studio コトノハ
出張撮影「photo studio コトノハ」

よくあるご質問
はい、近年のスマートフォンで撮影された写真であれば、高画質で十分に使用可能です。
ただし、ピントがしっかり合っていて、お顔の表情がはっきりわかる写真を選ぶようにしましょう。
不明な場合は、葬儀社や写真店にご相談ください。
基本的には故人様だけが写っている写真が望ましいですが、背景に他の人が写っている場合でも、写真加工サービスを利用することで、背景を消したり、故人様の部分だけを切り取ったりして、自然な遺影に仕上げることができます。
一般的な葬儀と同様加工の内容によって費用は異なりますが、一般的には5,000円から15,000円程度が目安です。
背景の変更や服装の合成、表情の修正など、複雑な加工ほど費用は高くなる傾向があります。
事前に見積もりを確認することをおすすめします。
厳密なタブーというものはほとんどありませんが、故人様の尊厳を保ち、参列者が違和感を覚えないような写真を選ぶことが大切です。
例えば、極端にふざけた表情や、あまりにもカジュアルすぎる服装、不適切な背景などは、加工で修正を検討すると良いでしょう。
故人様への敬意が伝わる一枚を選ぶことが重要です。
基本的には亡くなる5年前までの写真が望ましいとされています。
これは、参列者が記憶している故人様の姿に近い方が、より深く故人様を偲ぶことができるためです。
しかし、病気などで容姿が大きく変わってしまった場合や、故人様が生前特定の写真を指定していた場合は、若い頃の写真を選ぶことも例外的にあります。
いずれにしても最も重要なのは、故人様らしさが伝わる一枚であることです。
まとめ|心に残る遺影選びのために
遺影選びは、故人様への最後の敬意を表し、旅立ちを祝福する大切な準備の一つです。
理想的な写真がすぐに見つからなくても、今は写真加工技術が進歩しており、様々な修正や合成が可能です。
何よりも大切なのは、故人様の穏やかな表情や、人柄が伝わる「故人様らしい」一枚を選ぶことです。
「葬儀のともしび」では、遺影に関するご相談も24時間365日、心を込めて承っております。
突然のことで戸惑われることも多いかと思いますが、ご家族が納得し、心から故人様を見送れるよう、心を込めてサポートさせていただきます。
どんな些細なことでも、どうぞお気軽にご相談ください。
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