葬祭費とは?条件や申請方法など分かりやすく解説します

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  • 葬祭費は国保、国保組合、後期高齢者医療制度の被保険者がなくなった際に支給される
  • 自治体によって支給額は異なる
  • 葬祭費は相続税の計算に影響は与えない

「亡くなった方の葬儀費用は、どのくらいかかるのか」「誰がどれくらい負担するのか」
など、葬儀に関する費用は不安な点が多いものです。

本記事では、国民健康保険や後期高齢者医療制度における葬祭費の請求について、制度の概要から手続き、費用、関連する法律まで詳しく解説します。
葬祭費の請求条件や金額、手続き方法、支払い時期、相続との関係など、気になる疑問を解決し、安心して葬儀費用を請求できるようサポートします。

さらに、火葬のみの葬儀の場合の費用や生活保護受給者の葬祭扶助についても詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

葬祭費とは?制度の概要と受けられる条件

葬祭費は、国民健康保険(国保)、国民健康保険組合(国保組合)、または後期高齢者医療制度の被保険者が亡くなった際に、葬儀を行った遺族に支給される給付金です。

国民健康保険は、社会保険組合(協会けんぽ、組合健保、または共済組合)に加入していない方が加入する公的医療保険です。
例えば、次のような方が加入します。

  • 自営業者
  • 農業、漁業に従事している方
  • パート、アルバイトなどで職場の健康保険に加入していない方
  • 退職して職場の健康保険を脱退した方
  • 3か月を超える在留資格が決定された住所を有する外国籍の方

国民健康保険組合は、同一の職業に従事する方を被保険者とする公的医療保険です。

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方、または65歳以上75歳未満で一定の障害があり、運営主体の保険者である広域連合の認定を受けた方が加入する医療制度です。

会社員、公務員、団体職員など、会社に勤めている方は、国民健康保険、国民健康保険組合、または後期高齢者医療制度の被保険者ではないため、葬祭費給付制度の対象外となります。代わりに、埋葬料給付制度の対象となります。

ただし、会社員だった方が退職などにより会社が加入している社会保険組合の被保険者資格を喪失した後、亡くなった場合でも、以下のいずれかに該当する場合は、葬祭費ではなく埋葬料の支給対象となります。

  • 会社が加入している社会保険組合の被保険者資格の喪失後3か月以内に亡くなった場合
  • 会社が加入している社会保険組合の被保険者資格の喪失後、傷病手当金または出産手当金の継続給付を受けている間に亡くなった場合
  • 会社が加入している社会保険組合の被保険者だった方が、2の継続給付を受けなくなってから3か月以内に亡くなった場合

このように、亡くなった方が加入していた公的医療保険の種類によって、葬祭費と埋葬料のどちらを受給できるかが決まるため、これらの両方を受給することはできません。

葬祭費の金額:目安と費用内訳

葬祭費の支給額は、故人が加入していた公的医療保険の種類と保険者によって異なります。

国民健康保険に加入していた場合は、自治体によって異なりますが、5万円から7万円が支給されます。

後期高齢者医療制度に加入していた場合は、自治体によって異なりますが、3万円から7万円が支給されます。

国民健康保険組合に加入していた場合は、組合によって異なりますが、5万円から10万円程度が支給されることが多いようです。

生活保護受給者の葬祭扶助について

生活保護を受けている方の葬儀費用は、葬祭扶助制度という制度を利用することで、経済的な負担を軽減できる場合があります。

遺族が生活保護を受給しており、葬儀費用をまかなえない場合や、生活保護受給者の葬儀を遺族以外の人が手配する場合などは、この制度の利用を検討してみましょう。

該当するのは下記のような方です。

  • 遺族が生活保護を受けていて、葬儀費用をまかなえない場合
  • 生活保護受給者の葬儀を遺族以外の人が手配する場合

これらの状況に該当する場合は、葬祭扶助制度を利用することで、葬儀費用の一部または全額を援助してもらえます。

火葬のみの場合の葬祭費

火葬のみで葬儀を行う直葬の場合、葬祭費が支給されないケースが存在するので注意が必要です。
火葬であっても葬祭費が支給されるケースが多いですが、保険者によって対応が異なるため、故人が加入していた公的医療保険の保険者へ問い合わせることが重要です。

故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、故人の住所地の市区町村に、国民健康保険組合に加入していた場合はその組合へ確認が必要です。

相続放棄と葬祭費の関係

相続放棄をした場合でも、葬祭費は相続財産には該当しないため、受け取ることができます。
同様に、葬祭費を受け取った後でも、相続放棄は可能です。

葬祭費請求の時効

故人の葬儀費用を請求できる期間は、葬儀を実行した日の翌日から2年間です。
この期間を過ぎると、請求権は時効によって消滅してしまうため、注意が必要です。
気づいたら期間が過ぎていたなんてこともありますので、葬儀後になるべく早く請求するようにしましょう。

葬祭費の請求手続き

故人が加入していた公的医療保険の保険者に対して、葬祭費を請求することができます。

保険者は、公的医療保険の種類に応じて異なります。

下記の表をご確認ください。

公的医療保険の種類保険者(=葬祭費の請求先)
国民健康保険または後期高齢者医療制度住所地の市区町村役場
国民健康保険組合加入していた国民健康保険組合

手続き方法や必要な書類は、保険者によって異なるため、それぞれの保険者のウェブサイトなどで確認することをおすすめします。
支給申請書の様式も保険者によって異なります。

なお、保険者によっては郵送による請求も可能です。

葬祭費の支払い時期

葬祭費は、通常、申請書に記載された金融機関口座へ振り込まれて支給されます。
申請から支給までの期間は、保険者によって異なりますが、一般的には1~2か月程度です。

故人が保険料の支払いを滞納していた場合、葬祭費が未納の保険料に充当されることがあります。
この場合、残額があれば、残額は保険者(市区町村など)の窓口で現金で受け取ることができます。

葬祭費と相続税

相続税の対象となる財産には、現金や不動産に加えて、預貯金や株式などの金融資産が含まれます。
しかし、葬儀費用として支払われた葬祭費は、相続税の対象にはなりません。
これは、葬儀費用は故人の財産ではなく、相続人や遺族が故人を偲んで行う費用であり、相続税の対象となる財産とは異なる性格を持つためです。

相続税の計算では、故人の財産から葬祭費を控除する必要はありません。
つまり、葬祭費は相続税の計算に影響を与えません。

ただし、葬祭費を控除したとしても、相続税の申告は必要となります。
相続税の申告期限は、相続開始の日から10ヶ月以内となっており、相続開始日は、故人が亡くなった日となります。

葬祭費に関する解説まとめ

この記事では、葬祭費の制度概要、受けられる条件、金額の目安、費用内訳、生活保護受給者の葬祭扶助、相続放棄との関係、請求手続き、支払い時期、相続税、確定申告など、葬祭費に関する様々な情報を解説しました。
これらの情報が、皆様の疑問を解決し、葬儀費用に関する理解を深める一助となれば幸いです。

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