葬祭ディレクターとは?資格内容と役割、葬儀社選びでの重要性を徹底解説
葬儀の準備は、多くの方にとって人生で数えるほどしか経験しない「特別な場面」です。突然の訃報に動揺し、限られた時間の中で、葬儀の形式、費用、宗教や地域の慣習など、決めなければならないことが次々と押し寄せてきます。
「何から始めたらいいのか...」「費用はどのくらいかかるのか...」「宗教や地域の決まりはどうしたらいいのか...」「親族や参列者への配慮は...」
そんな不安と混乱の中で、ご遺族に寄り添い、葬儀を安心して進められるよう専門的な知識と経験でサポートする存在が葬祭ディレクターです。この記事では、葬祭ディレクターの資格内容・具体的な役割・葬儀社選びでの重要性について、最新の情報を交えながらわかりやすく徹底解説します。
※なお、「葬祭ディレクター」という呼称は広く使われておりますが、本記事では公的資格を取得した有資格者を指します。
💡記事を先読み
- 葬祭ディレクターは厚生労働省が認定する葬祭業務の専門資格
- 葬儀社を選ぶなら1級・2級の葬祭ディレクターが在籍しているかが重要
- 葬儀社の選定は葬祭ディレクターに加え、初回対応の丁寧さ・口コミなどもチェック
- 1. 葬祭ディレクターとはどんな資格か?
- 2. 葬祭ディレクター1級と2級の違い
- 3. 葬祭ディレクターの具体的な仕事内容と役割
- 3.1. 事前相談・初期対応
- 3.2. 葬儀内容の打ち合わせ・企画
- 3.3. 葬儀準備・手配業務
- 3.4. 通夜・葬儀当日の進行管理
- 3.5. 出棺・火葬場での対応
- 3.6. 葬儀後のアフターフォロー
- 4. 葬祭ディレクター(1級・2級)が在籍する葬儀社を選ぶメリット
- 5. 良い葬儀社の見極め方
- 5.1. 具体的な見極めポイント
- 5.1.1. 葬祭ディレクターの在籍状況
- 5.1.2. 初回相談時の対応
- 5.1.3. 見積もりの詳細さ
- 5.1.4. 実績と評判
- 5.1.5. 事前相談の活用
- 6. よくある質問
- 7. まとめ

葬祭ディレクターとはどんな資格か?
厚労省認定の公的資格
葬祭ディレクターは、厚生労働省が認定する「葬祭ディレクター技能審査」に合格することで取得できる、葬祭業務の専門資格です。
葬祭業界において唯一の厚生労働省認定資格であり、葬儀の進行・ご遺族へのサポート・地域や宗派に合わせた対応など、実際の現場で必要となる知識と技術を体系的に身につけた証となります。
この資格制度は、平成8年(1996年)に全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)が中心となり、葬祭業界で働く人々の技能向上と社会的地位の確立を目指して設けられました。
独占業務資格ではないが、信頼の証
葬祭ディレクター資格は国家資格ではなく、民間資格に分類されます。そのため、資格がなくても葬儀業務に従事することは法律上可能です。
しかし、厚生労働省が認定している唯一の葬祭業資格であることから、業界内では信頼性の高い専門資格として広く認知されており、多くの葬儀社が採用基準や昇進要件として活用しています。
また、ご遺族にとっても「1級・2級の葬祭ディレクターが在籍している」という事実は、葬儀社を選ぶ際の重要な判断材料となります。
資格保有者は約4万人を超える
2023年11月時点で、葬祭ディレクター資格の保有者数は全国で40,937人に達しています。
内訳は以下の通りです。
- 1級葬祭ディレクター:21,083人
- 2級葬祭ディレクター:19,854人
葬祭業界全体における有資格者の割合は年々増加しており、業界のプロフェッショナル化が進んでいることがうかがえます。
葬祭ディレクター1級と2級の違い
葬祭ディレクター資格には1級と2級の2つの等級があり、それぞれ対応できる業務範囲と必要な実務経験が異なります。
1級葬祭ディレクター
1級は葬祭業務の高度な専門知識と統括能力を証明する上位資格です。
- 大規模葬儀や社葬の企画・統括
- 複数の宗教・宗派が関わる複雑な葬儀の調整
- 突発的なトラブルへの迅速な判断と対応
- スタッフの教育・指導
- 地域特有の慣習や特殊な要望への対応
参列者が100名を超えるような葬儀や、特殊な事情がある場合には、1級資格保有者の経験と判断力が活きてきます。
2級葬祭ディレクター
2級は葬祭業務の基礎的な知識と技能を証明する資格です。
- 通夜・告別式の基本的な進行
- ご遺族への初期対応と打ち合わせ
- 会場の設営・装飾
- 接遇マナーと参列者対応
- 基本的な宗教儀礼の理解
一般的な家族葬や小規模な葬儀であれば、2級資格保有者でも十分に対応可能です。
等級別の比較表
| 種類 | 対応できる業務 | 必要な実務経験 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 2級 | 小〜中規模の葬儀担当 基本的な葬儀の施行・運営 | 実務経験2年以上 (協会が認定した葬祭教育機関の 所定カリキュラム修了(見込み)で在学中の受験も可能) | ・通夜・葬儀の進行補助 ・ご遺族との基本的な打ち合わせ ・会場設営・接遇対応 |
| 1級 | 中〜大規模葬儀の統括 複雑な葬儀の企画・進行管理 | 実務経験5年以上 (2級取得後2年以上の実務経験) | ・葬儀全体の統括・責任者 ・複雑な調整業務 ・スタッフの指導・教育 ・トラブル対応 |

葬祭ディレクターの具体的な仕事内容と役割
葬祭ディレクターの業務は、葬儀前の準備段階から葬儀後のアフターフォローまで、多岐にわたります。
事前相談・初期対応
ご逝去直後の対応
- 24時間365日の緊急対応
ご逝去の連絡が入る瞬間から、葬祭ディレクターの仕事は始まります。
病院や施設からの連絡を受け、24時間365日対応でご遺体の搬送手配を行い、ご自宅・会館・安置施設など、状況に応じた安置先を確保します。 - 初期段階でのサポート
- ご遺族の精神的なサポート
- 葬儀の大まかな流れの説明
- 緊急で必要な手続きのご案内
- 死亡診断書の取り扱いアドバイス
葬儀内容の打ち合わせ・企画
次に、葬祭ディレクターはご遺族との丁寧な対話を通じて、葬儀の形を共に決めていきます。
故人がどんな人生を歩み、どのような価値観を大切にしていたのか。
ご遺族がどんなお別れを望んでいるのか。
- 「静かに家族中心で送りたい」
- 「故人が好きだった花で飾りたい」
- 「生前関わった人にも集まってほしい」
といった想いを整理し、式の形へと具体化します。
葬儀形式(家族葬・一般葬・一日葬など)、参列人数に応じた会場選定、祭壇デザイン、席配置、音響など、細部にわたる提案を行いながら、透明性のある見積もりを提示します。
費用の内訳やオプションの意図も丁寧に説明することで、「後から追加料金が増える不安」をなくします。
また、宗教儀式や地域慣習にも配慮し、僧侶・神職・牧師との連携もディレクターが担います。
葬儀準備・手配業務
打ち合わせ内容が決まったら、葬祭ディレクターは会場設営や各種手配を進めます。
- 火葬場の予約
- 霊柩車やマイクロバスの手配
- 供花・供物や料理、返礼品の発注
- 会場の設営、音響・照明調整
この過程では、花屋・料理業者・写真業者など、さまざまな関係者が動きます。
それらの連携を司り、滞りなく当日を迎えられるよう全体を統括するのが葬祭ディレクターです。
通夜・葬儀当日の進行管理
式当日、葬祭ディレクターは「式全体の司令塔」となります。
式次第に沿って進行を行い、司会、弔辞や弔電紹介、焼香案内などを適切なタイミングで進めます。
また、参列者の誘導や、ご遺族の気持ちに寄り添った声掛け、体調不良者の対応など、配慮と気遣いが求められる場面が続きます。
急な参列者増や天候など、思いがけない状況変化にも即時対応します。
多くの現場経験を持つ葬祭ディレクターだからこそ、安心して任せることができます。
出棺・火葬場での対応
お別れの時間は特に深い悲しみが伴います。
出棺の儀式では、ご遺族が悔いのないよう進行を整え、火葬場でも手続きや収骨の流れを丁寧に案内します。
「ただ進める」のではなく、「こころに寄り添いながら進める」
それが葬祭ディレクターの姿勢です。
葬儀後のアフターフォロー
葬儀が終わってからも、やるべきことは残ります。
死亡届・証明書の取得、法要の準備、位牌や仏具の相談など、葬儀後の負担は少なくありません。
また、お別れ後の心の整理に時間が必要な方も多く、葬祭ディレクターはグリーフケア(心のケア)にも寄り添います。
「また困ったらいつでも相談できる」
そう感じてもらえる継続的な支えが大切です。

葬祭ディレクター(1級・2級)が在籍する葬儀社を選ぶメリット
1級または2級の葬祭ディレクター(厚生労働省認定資格保有者)が在籍している葬儀社には、葬儀を安心して任せられる理由があります。
それは「知識」や「経験」だけでなく、ご遺族に寄り添う姿勢や、式を支える総合的な対応力が備わっているためです。
ここでは、その具体的なメリットについて詳しくお伝えします。
専門知識に基づく適切な提案ができる
葬祭ディレクターは、体系的な教育と現場での経験を通じて、葬儀に関する幅広い知識を身につけています。
例えば、宗教・宗派ごとの儀礼作法や、地域によって異なる葬儀の慣習、式の進め方、そして葬儀に関連する法律や届出の知識などが挙げられます。
さらに、近年増えている「家族葬」や「無宗教葬」、メモリアル映画や思い出コーナーなどの新しい葬儀スタイルにも対応できます。
こうした知識があるからこそ、「このご家族に最も合うお別れの形は何か」を一緒に考え、無理のない提案ができるのです。
不安や疑問に根拠をもって答えられる
葬儀は誰もが慣れているわけではありません。
ご遺族は、費用や段取り、香典返し、参列者対応など、わからないことが次々と出てきます。
葬祭ディレクターは、これらの疑問に対して「経験」と「知識」に基づいて、丁寧に説明します。
- 「この費用はなぜ必要なのか」
- 「参列者が何名になるか見通しはどう立てるか」
- 「宗派がわからない場合の相談先」
- 「香典返しの一般的な考え方」
「なんとなく」ではなく、はっきり答えてもらえる安心感は、葬儀社選びで重要なポイントになります。
式当日の進行やトラブルにも柔軟に対応できる
葬儀の現場では想定外のことが起こることがあります。
たとえば
- 参列者が想定より増える
- 僧侶の到着が遅れる
- 天候が大きく崩れる
- 式場設備に急な不具合が起きる
葬祭ディレクターは、こうした状況に落ち着いて対処できる現場経験と判断力を持っています。
トラブルが起きても、進行を乱さず、参列者とご遺族の安心を保つことができます。
「何があっても任せられる」という安心感につながります。
ご遺族の心に寄り添う姿勢がある
葬祭ディレクターの役割は、式の段取りや進行だけではありません。
大切な人を失った悲しみに寄り添い、安心して見送りの時間を過ごせるよう、心の支えとなることも大きな役割です。
また、葬祭ディレクターはグリーフケアの基礎を学んでいます。
過剰な励ましや形式的な言葉ではなく、相手の心に沿った距離感で寄り添います。
「ただ対応する人」ではなく「心のそばにいてくれる人」であることが、ご遺族にとって何よりの安心になります。
費用説明が明確で納得のいく葬儀ができる
葬儀費用が「わかりにくい」「何が含まれているかわからない」という不安は、多くの方が感じるポイントです。
葬祭ディレクターは、「何にどの費用がかかり、何を省くとどう変わるのか」を具体的に説明できます。
- 無理に費用を上げる提案はしない
- 削減できる部分は正直に伝える
- 追加費用の可能性も事前に説明する
結果として、納得したうえで選べる透明な葬儀につながります。
葬儀前から葬儀後まで一貫して支えてくれる
葬儀は「式が終わったら終わり」ではありません。
- 生前相談
- 見積もり作成
- 通夜・葬儀の進行
- 法要やお墓の相談
- 必要な手続きの案内
- 心のケア
1級または2級の葬祭ディレクター資格を持つスタッフが在籍する葬儀社では、これらを一貫してサポートできます。
長く相談できる担当者がいることは、今後の生活においても大きな安心になります。
有資格者が担当することで、地域の風習や式場事情にも柔軟に対応できます。
葬儀のともしびでも1級2級葬祭ディレクターが在籍しておりますので、埼玉県の各地域や足立区周辺での葬儀を検討されている方は下記ページをご覧ください。

良い葬儀社の見極め方
葬儀社選びは、故人を送る大切な儀式の質を左右します。
以下のポイントを参考に、信頼できる葬儀社を見極めましょう。
| 確認項目 | チェック方法 | 良い葬儀社の特徴 |
|---|---|---|
| 資格・経験の有無 | ・ホームページや店頭で確認 ・直接問い合わせる | ・葬祭ディレクター(1級・2級)が複数名在籍 ・スタッフの経験年数を明示 |
| 説明説明の丁寧さ | 初回相談時の対応を観察 | ・質問に即座に答えられる ・専門用語を噛み砕いて説明 ・押し付けがない |
| 見積もりの透明性 | 見積書の内容を確認 | ・項目ごとに明確な金額表示 ・「一式」表記が少ない ・追加費用の可能性を事前説明 |
| 口コミ・評判 | ・インターネットで検索 ・知人に聞く | ・具体的な良い評価が多い ・苦情への誠実な対応 |
| 対応の速さ | 問い合わせ時の反応 | ・24時間対応可能 ・迅速なレスポンス |
| 契約を急かさない | 初回訪問時の態度 | ・十分な検討時間をくれる ・他社との比較を推奨 |
| アフターサポート | 葬儀後の対応を確認 | ・法要の案内がある ・継続的な相談窓口 |
具体的な見極めポイント
葬祭ディレクターの在籍状況
確認すべきこと
- 何名の葬祭ディレクターが在籍しているか
- 1級と2級の内訳
- 担当してくれるスタッフの資格保有状況
良い葬儀社の例: 「当社には1級葬祭ディレクター5名、2級葬祭ディレクター8名が在籍しており、お客様の葬儀には必ず有資格者が担当いたします」
初回相談時の対応
チェックポイント
- 質問に対して即座に、根拠を持って答えられるか
- ご遺族の話をしっかり聞いてくれるか
- 複数のプランを提示し、メリット・デメリットを説明してくれるか
- 契約を急かさず、検討時間をくれるか
避けるべき葬儀社
- 質問にあいまいな回答しかしない
- 高額プランばかりを勧める
- 「今決めないと」とプレッシャーをかける
見積もりの詳細さ
良い見積もりの特徴
- 項目ごとに単価と数量が明記されている
- 「葬儀一式」のような曖昧な表記が少ない
- オプション項目が明確
- 追加費用が発生する可能性がある項目の説明がある
悪い見積もりの例
- 「基本セット:○○万円」だけで詳細がない
- 質問しても「通常こうなっています」と説明が不十分
- 後から「あれは別料金です」と言われる
実績と評判
確認方法
- Googleマップの口コミ
- 葬儀社比較サイトのレビュー
- 地域の知人・友人からの情報
評価のポイント
- 具体的なエピソードがある口コミ
- スタッフの対応に関する評価
- トラブル時の対応の誠実さ
事前相談の活用
葬儀社選びは「事前相談」がカギ
多くの葬儀社が無料で事前相談を受け付けています。実際に訪問し、以下を確認しましょう:
- 施設の清潔さ、雰囲気
- スタッフの対応の丁寧さ
- 相談しやすい雰囲気か
- 複数のプランを比較検討できるか
事前相談は複数社で行い、比較することをお勧めします。
良い葬儀社を選ぶポイントをご紹介しましたが、実際にどのようなサービスや体制で選ばれているかは「ともしびが選ばれる理由」をご覧ください。
費用やサービス内容を確認されたい方は「料金プラン一覧」をご覧ください。
よくある質問
必ずしもそうではありませんが、葬祭ディレクター資格は「専門知識と経験の証」です。
特に初めて葬儀を経験する方や、複雑な事情がある場合は、有資格者のサポートがあると安心です。
一般的な規模の葬儀であれば、2級でも十分に対応可能です。
ただし、参列者が100名を超える大規模な葬儀や、特殊な要望がある場合は、1級の経験と統括能力が役立ちます。
以下の方法で確認できます
・葬儀社のホームページで在籍情報を確認
・電話やメールで直接問い合わせる
・初回相談時に担当者の資格を尋ねる
・名刺に資格が記載されている場合もあります
多くの葬儀社で事前相談は無料です。
しつこい営業をする葬儀社は避け、「検討時間をくれる」「他社比較を推奨する」葬儀社を選びましょう。
全国平均は約110万円〜120万円程度(2025年時点)ですが、地域や葬儀形式によって大きく異なります。
家族葬なら50万円〜80万円程度、一般葬なら100万円〜150万円程度が目安です。「家族葬の費用相場や流れを徹底解説」では費用の内訳や実例をご紹介しています。
まとめ
葬祭ディレクターは、厚生労働省が認定する葬祭業界唯一の公的資格を持つ、葬儀の専門家です。
実務経験と学科・実技試験を経て取得する資格であり、その知識と経験は、式の進行だけでなく、ご遺族の心に寄り添う支えとなります。
事前相談 → 葬儀の企画 → 式当日の進行 → 葬儀後のサポート
まで一貫して行うことが葬祭ディレクターはできますので、葬儀社を選ぶ際には、「1級または2級の葬祭ディレクターの資格保有者が在籍しているか」が大きな判断材料となります。
葬儀のともしびでは、1級・2級の葬祭ディレクターが複数在籍し、
ご遺族の想いを丁寧に受け止め、故人らしいお別れの形をご提案します。
葬儀を「不安の中で進める」のではなく、安心して大切な時間に向き合えるようにサポートいたしますので、ご遠慮なくいつでもご相談ください。



